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From: Akitaka HOSOMI <hosomi@ga2.so-net.ne.jp>
Subject: Re: ソフトウェア・ユニオン( 算の巻 )
Date: 1998/12/28 02:58:19
Reference: ehimevision/00015

[ SOHO を使った小規模なソフトハウスは、経済的に成り立つか? ]


単純に、こんな↓モデルを考えてみませう。


    1. リピートが見込めるソフトウェアを扱う。

    2. ソフトウェアの製品寿命と売上の推移を、年度別で捉える。

    3. バージョンアップはしないので、売上は、年々減少していく。
       ただし、今年度の売上は、前年度の 40 % 程度が見込める。


これに従って、ソフトウェアを 1 つ書いて、初年度に 100 本売れたと
すると、

      年度別        年間売上     売上総計

      1 年目  ......  100  ......  100
      2 年目  ......   40  ......  140
      3 年目  ......   16  ......  156
      4 年目  ......    6  ......  162
      5 年目  ......    2  ......  164


# つまりは、よく見かける基本的な等比数列↑だね。


一生、売り続けたとしても、166 本ほどしか総売上は見込めないのだが、

     2 年目にして、140 本( 84 % )
     3 年目にして、156 本( 94 % )
     4 年目にして、164 本( 98 % )

うまく利益率を設定できれば、基本的に、事業の立上りが、早いと言え
る( 投下した資本に対する結果が、早く期待できるということだ )。


この単純モデルの場合、公比は 0.4 だが、これを 4 とか 5 とかに設定
した非常にあぶないモデルが、ねずみ講だ。道具は正しく使って、初めて
何かの役に立つものだ。他人を陥れる武器ではなく、身を守る盾として、
使いませう。



さて、自営業で始めるにあたっての元手は、さほど必要ない。始めたとこ
ろで、ソフト書き( 物書き )の場合、経費らしき経費は、自分の給料ぐら
いなモノなので、運転資金で、借金かかえてしまう心配も、ほとんど無い。

# 加工業や販売業とは違うので、仕入れ代金は、不要なんだモ〜〜ン。





[ SOHO 的ポートフォリオ・セレクション ]


ポートフォリオとは、異なる特性を組み合わせて、総体的にリスクを低減
する方法論だ。

株取引などでは、よく使われているが、中小企業の経営でも、特に意識せ
ずに、用いられている場合を見かける。

どこかの会社も、事業経営の 3 本柱なんてことを言ってるね。直観的には
その 3 本の内、どれか一つが冷え込んでも、残りの 2 本で支えられると
いうことさ。


小規模であることから、もともと、リスクに敏感と思われるソフトハウス
なら、これに見習って、分野の違うソフトを 3 本程度抱えておくと良い。

丸 1 年間という時間をフルに使って、ソフトウェアを 1 つ書くとすると
市場に流通しているレベルのソフトウェアは、一人ででも充分書ける。

翌年には、それを売りながら、もう 1 本、別のソフトを書くこともできる
さ。その流通経路の確保や開拓は、ソフトウェア・ユニオンの仕事の一つ
でもある。



で、上記のモデルに、

    4. 年間 1 本のペースで、計 3 本程度、分野の違うソフトを加える。

という条件を付加すると、



      年度別        年間売上                       売上総計

      1 年目  ......  100             = 100  ......  100
      2 年目  ......   40 + 100       = 140  ......  240
      3 年目  ......   16 +  40 + 100 = 156  ......  396
      4 年目  ......    6 +  16 +  40 =  66  ......  462
      5 年目  ......    2 +   6 +  16 =  24  ......  486


売上総計は、166 × 3 = 498 本ほどなので、やはり、上記同様、立上り
は早い( 仕事が、早く軌道にのせられるというこっちゃ )。


しかも、年間売上は、以前と比べて安定して緩やかに上昇する( つまり、
手堅いというこっちゃ )。


 4 年目以降は、気が向けば、また新しいソフトを書くなり、大幅なバー
ジョンアップを行なうなりして、新規に 100 を生み出せばよろしい。

どちらを選ぶにせよ、当人の自由な選択で良い。ペースは年に 1 本なの
で、充分、賄える仕事量の筈。




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最近の風潮なんか見てると、ハードウェアの進歩は異常に速くて、ソフト
ウェアが、それについて行けてない。3 年経てば、ソフトウェアの動作す
る環境( OS )自体も大幅に変わってる。そのため、新しいソフトや、旧版
のバージョンアップのネタは尽きることがない。

自立するためのソフトウェアのアイデアなんぞは、誰もが思いつかないよ
うな、特殊で、特別なモノは、何も必要ないのさ。自分の手で、書くか/書
かないか、で、ほとんどが、決まっちゃうものだ。


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ずっと、ソフトを書くような仕事をしてると、そんな感じがするわな。
で、現在、人柱になって、実際に、どんなモンなのか、試してるワケだ。

結果は、後からついてくるかも知れん。

# おいおい .....


次回、ソフトウェアユニオンの講、総まとめ。