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From: Akitaka HOSOMI
<hosomi@ga2.so-net.ne.jp>
Subject: Re: デジタルフィルタだっちゅうの〜( 合計 41 K バイトの画像付き )
Date: 1998/08/02 02:05:32
Reference: junge/00117
近頃、ビデオ回路などでも馴染みのある 'くし型フィルタ ' についても、どんな物か
見てみることにする。これは、回路構成が簡単であるため、デジタルフィルタで安直に
実現できる。実際、数段の遅延回路と原信号との加算回路のみ、というシンプルさ。
プログラムで書く際にも、この↑通りに、書いてやれば良く、畳み込み演算なども
特に必要としないので、たいへん高速に動作する。
1. くし型フィルタの振幅特性( 下側の波形 )
※ なぜ、くし型フィルタと呼ばれるかは、これを見れば、一目瞭然。
この↑ように、基準周波数及びその高調波成分を全て阻止する。このため、帯域阻止
フィルタやノッチフィルタなどとは違って、高調波歪みを伴う信号をきれいにカット
することが可能だ。
2. くし型フィルタの出力信号
※ 奇数次、偶数次の高調波を含んだノコギリ波を入力した際の出力波形だ
※ なんとまぁ、お見事でおます〜〜 !!
さて、くし型フィルタで特徴的なのが、これのインパルス応答で、ローパス、ハイパス、
バンドパスなどの一般的なフィルタと違って、奇対象という、一風変わった応答特性を
持っている。
3. くし型フィルタのインパルス応答
※ ヘンなの .....
などと、まぁ、これまで書いてきたことは、全部、極短時間の 1 発信号( 単位インパルス )
を回路に入力すると、何らかの出力が得られる、という単純な事柄に端を発している。
# たったこれだけのことから、一通り、プログラムが組み立てられるのだ。
単位インパルスが何を意味し、また、それへの応答が何を表すかという説明には、200 年も
前に発表されたフーリエ変換という道具を用いる。この頃は、解析学が大きく進んだ時期で
もある。
聞くところによると、このフーリエ変換は、発表された当時、あまり注目されなかったらし
い。現在では、周期性を持った信号を扱うための不可欠の道具であり、ブラウザなどで表示
される JPEG や MPEG という静止画や動画圧縮フォーマットにも、離散コサイン変換という、
フーリエ変換の親戚が応用されていたりする。
離散コサイン変換は、フーリエ変換に付き物の虚数成分の計算を行なわなくて済むように
工夫したものだ。この高速計算アルゴリズムが発見されたのは、今から、たった 20 年
ほど前のことであり、記憶に新しい人も多いのではないのか?
パソコンが判らんとか、インターネットがどうだとか、ぐだぐだ言ってる間に、人類が到達
した知の成果を、プログラマとして、まともに評価してみるのも、一興かも知れんです。