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From: Akitaka HOSOMI <hosomi@ga2.so-net.ne.jp>
Subject: Re: デジタルフィルタだっちゅうの〜( 合計 138 K バイトの画像付き )
Date: 1998/08/01 01:39:41
Reference: junge/00116

ウリウリ、っとな〜〜。


さて、FIR フィルタは、インパルス応答を有限回の計算で打ち切ることは、以前に
書いたので、実際に、この様子を見てみることにする。


 1. バンドパスフィルタのインパルス応答

    ※ バンドパスフィルタは、解析的には、二つのローパスフィルタを周波数領域で
       引き算したものと等価であるため、両者のインパルス応答は、よく似ている

    ※ この↓ように、応答が途中でバッサリ打ち切られている様子が確認できる
       ( 下側の波形がインパルス応答で、上側の波形は、これとは関係ない )






フィルタ出力を、このまま計算させると、遷移域( 信号の通過域〜阻止域までの変化域 )
で、特性が荒れる( これをギブス現象という )場合があり、ちと困ることになる。

そこで、フィルタ係数( FIR の場合は、インパルス応答と同値だね )に窓関数をかけて
便宜上、なめらかに応答させる手法がある。



 2. ハミング窓の関数を用いたバンドパスフィルタのインパルス応答

    ※ 波形の両側で、途中でバッサリ、ってのが無くなってるね






ハミング窓以外にも、いろいろな窓関数が考案され、それぞれで、特性が異なり、
一長一短がある。一般的には、窓関数を用いると、振幅特性の急峻さは失われる
傾向がある。

以下で、いろいろな窓関数を用いた場合のフィルタの振幅特性の変化を見てみる。



 3. バンドパスフィルタの振幅特性( 窓関数を用いない )




 4. バンドパスフィルタの振幅特性( ハミング窓を用いた )




 5. バンドパスフィルタの振幅特性( ハニング窓を用いた )




 6. バンドパスフィルタの振幅特性( ブラックマン窓を用いた )




 7. バンドパスフィルタの振幅特性( バートレット窓を用いた )




 8. バンドパスフィルタの振幅特性( カイザー窓を用いた )





窓関数を用いない振幅応答( 3. )とカイザー窓を用いた応答( 8. )とは、よく
似ているが、遷移域での特性に大きな違いがあり、カイザー窓では、振幅特性
の急峻さをあまり失わずに、必要な減衰量を確保できる。

以下で、遷移域を拡大表示した図を比較して見ると、よく判る。

# カイザー窓では、遷移域での減衰量が改善されている。 



 9. 窓関数を用いないバンドパスフィルタの振幅特性




 10. カイザー窓関数を用いたバンドパスフィルタの振幅特性





カイザー窓は、変形ベッセル関数を用いるもので、窓関数の特性をパラメータで
連続に変化させられる便利なものです。効果の程は、なめらかなテーパー窓とい
った感じ。