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From: Akitaka HOSOMI <hosomi@ga2.so-net.ne.jp>
Subject: Re: デジタルフィルタ( IIR 篇 .... 周波数特性 1 )
Date: 1998/10/01 03:38:19
Reference: junge/00160

今回の IIR フィルタも、以前の FIR フィルタと同様に、クラスとしてまとめてある。

# プロパティやメソッドなどのインターフェイスは、ほぼ共通なので、ワリと楽に使える。


フィルタの動作は、

        LPF ( 低域通過フィルタ )
        HPF ( 高域通過フィルタ )
        BPF ( 帯域通過フィルタ )
        BRF ( 帯域阻止フィルタ )

を指定できる。

これらの振幅特性は、バターワ−ス型、チェビシェフ型、逆チェビシェフ型が選択可能だ。

また、構成方法は、Biquad で 2D の縦続( カスケード )、2P の並列、を切り替えること
ができる。

内部では、デフォルトで縦続接続用に伝達関数を計算しており、これを、以前に書いた部分
分数分解を使って、並列接続用に変更しているのさ。そのため、構成を変更しても、同じ周
波数特性となる。

# 構成方法により、フィルタの性質にどのような違いがあるか?は、以前に書いてるよね。




まぁ、なんとか動いてるようなので、振幅特性などを見てみることにする。



バターワ−ス型 LPF の振幅特性

※ 下側の波形だ




バターワ−ス型 HPF の振幅特性




バターワ−ス型 BPF の振幅特性




バターワ−ス型 BRF の振幅特性




バターワース型の振幅特性は、リップルも無くて、素直なものだが、チェビシェフ型、
逆チェビシェフ型のフィルタと、ほぼ同じ減衰特性を得ようとすると、フィルタの次
数は、かなり大きくなる。





チェビシェフ型 LPF の振幅特性




チェビシェフ型 HPF の振幅特性




チェビシェフ型 BPF の振幅特性




チェビシェフ型 BRF の振幅特性





チェビシェフ型の振幅特性は、通過域にリップルがある。このリップルを許容することで、
減衰域での急峻な特性を得ているのだ。そのため、バターワース型に比べると、フィルタ
の次数が少なくて済む。

# その分、高速に計算できるということだ。


通過域のリップルについては、このように↓拡大してみると、よく判る。


チェビシェフ型 BRF の振幅特性の拡大表示




# 通過域のリップルは 1 dB でプロパティに設定してある。上手く動作してるね。






チェビシェフ型とは反対に、阻止域にリップルを許すことでも、急峻な特性が得られる。
逆チェビシェフ型と呼ばれる振幅特性が、それで、チェビシェフ型同様に、フィルタの
次数が少なくて済む。

# 阻止域の減衰量は、-26 dB で設定してある。これも、その通りに応答している。



逆チェビシェフ型 LPF の振幅特性




逆チェビシェフ型 HPF の振幅特性




逆チェビシェフ型 BPF の振幅特性




逆チェビシェフ型 BRF の振幅特性





この IIR フィルタは、以前の FIR フィルタと、同じ仕様( カットオフ周波数、減衰量 )
で動作している。

興味があれば、FIR フィルタの振幅特性とどのような違いがあるか? 比べてみると良い。